ある欧州の多国籍大手小売企業は、本社オフィスの契約更新期間を迎えるにあたり、契約中のオプション物件を継続するかどうかの判断を迫られていました。
従来、こうした判断は不確実性を抱えたまま意思決定を行わざるを得ませんでしたが、Nimwayを導入したことで確信をもって判断を下すことができるようになりました。
同社のワークプレイスマネジメントチームは、Nimwayによる利用データを分析し、一部特定エリアの稼働率が著しく低いことを把握しました。その結果、契約面積の20%を削減することを決定し、数千万ドル規模のコスト削減に成功しました。本記事では、チームを牽引するワークプレイス・エクスペリエンスマネージャー(以下、WXマネージャー)の声とともに、オフィスに関するデータが同社の課題を解決解決につながった事例をご紹介いたします。
WXマネージャー: 同社は本社移転の際、12年契約でリース契約を結んでおり、契約には一定年数経過後に解約可能なオプション物件が含まれていました。そしてその見直しタイミングが近づいたことで、オプション物件を維持するか、削減するかの意思決定が求められたのです。しかしこの数年で社内では複数の戦略的組織再編が進み、ハイブリッドワークを前提とした働き方が浸透したことでこの意思決定は容易なものではありませんでした。
現在、私たちの組織の働き方は多様になっています。それに加えて、会社全体でもハイブリッドワークを取り入れるための大きな変化が起きています。 今の職場環境は非常にダイナミックなのです。以前はもっと静的で、10年前はすべてのオフィスがもっと固定的な働き方をしていたと思います。
こうした戦略的な変化は全体的には良い結果をもたらしたものの、ハイブリッドワークの導入によりオフィス環境の運営にはいくつかの実務的な課題も生じていました。特にWXマネージャーにとって、チームとのコミュニケーション、職場の収容能力の評価、そして経営陣の期待の調整など、オフィスマネジメントには困難で時間を要してしまう大きな課題があります。
WXマネージャー:
たとえば、ビジネス上非常に重要なプロジェクトが立ち上がったとき、その成功のためにはメンバー全員が一緒に座って密に会話できるようにする必要があります。しかし、この20人以上のメンバーはどこに座ればよいのでしょうか? プロジェクトに広いスペースが必要だとしても、それが毎週火曜日だけだとしたら? オフィスビル内に空きがあったとしても、それらのスペースが遠く離れた場所であればあまり意味がありません。
私たちは、まるで職場というパズルのピースを動かすようにして調整を試みています。そのピースをうまく組み合わせるのは本当に難しいのです。
もちろん、従来通り“広めにスペースを確保する”という方法も一つの解決策ではありますが、それには多大なコストがかかります。それだけでなく、オフィスが広すぎると職場の“ダイナミックな感覚”が失われてしまい、鼓動のような活気が感じられなくなるのです。
このお客様は新本社移転時にNimwayを導入し、5年間にわたり流動的な職場環境の管理に活用してきました。
会議室やデスクに設置されたセンサーにより、リアルタイムでの空き状況を可視化できるようにしました。空き状況は各種パネル、フロアマップ、スマートフォンアプリ上で確認でき、社員は最適な席や部屋をすばやく見つけて予約できるようになりました。また、Nimway Analyticsを通じて、長期的なスペース利用傾向や予約パターンを把握し、その分析結果に基づいてレイアウト変更やリソース最適化を実施しています。
テクニカルサービスマネージャー:以前は仮説ベースでレイアウトを考えていましたが、今では実際の利用データに基づいて判断できるようになりました。
会議室(平均稼働率:61%)
会議室の高い利用率は、この種のスペースが不足していることを示していました。
ゲスト用の作業スペース(平均稼働率:5.1%)
ゲスト用に設けた作業スペースの平均稼働率が低く、このスペースは別の用途に活用できる可能性を示していました。
社員の声でも「会議室が足りない」という意見が多く、実際の稼働データと一致していました。ゲスト用の作業スペースがほとんど使われていないことは明らかで、その多くは稼働率が10%未満にとどまっていました。一方で、会議室は非常に高い需要があり、社員からのフィードバックでも会議室の増設が必要であることが確認されました。
こうしたNimwayのデータを参考にすることで、オフィス契約のリース面積の見直しを検討する際、経営陣は大胆なコスト削減策を決断することができました。
WXマネージャー:Nimwayのデータによって、私たちの経営陣は次のリース期間中に数千万ドルのコストを削減する決断―すなわちオフィススペースの20%削減に自信をもって決断することができました。通常であればこういった決定には多くの不確実性がつきものですが、Nimwayがあれば違います。
顧客のワークスペース稼働率の1年間の推移
以前のリース契約では約1,200座席分のワークスペースが含まれていましたが、実際に同時に使用されていたのは平均で約250座席のみでした。時折ピーク時には500座席が埋まることもありましたが、それはまれなケースでした。そのためワークスペースの数を削減するという判断は明白であり、結果として平均稼働率の向上にもつながりました。
こうして経営層が自信を持ってコスト削減の決断をすることができた理由には、Nimwayによる長期的な稼働データが自社オフィスのスペースが過剰であることを明確に示していたからです。
WXマネージャー:
この決定を下す前、私たちはリース契約で1,200座席分のワークスペースを確保していました
しかし、Nimway Analyticsでオフィスの利用状況を確認したところ、同時に使用されていた席数の平均はわずか250座席でした。年間で8〜10回ほど500席を超えるピークはありましたが、それでも1,200席には到底及びません。そのため、オプションとなるスペースを契約から外して900席に減らすという判断を容易に下すことができました。
Nimwayの稼働データがあったことで、こうした変更について経営陣と建設的な対話をするのも簡単でした。主観に頼るのではなく、事実に基づいた説明ができるという点が非常に重要でした。