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2026.02.24

フリーアドレスが失敗する・定着しない本当の理由とは?座席の固定化を防ぎ、メリットを最大化する運用ルールと対策

「フリーアドレスを導入したものの、気づけば毎日同じ席に同じ人が座っている」、「社員から『仕事がしにくい』『誰がどこにいるかわからない』と不満が出ている」

働き方改革の一環としてフリーアドレスを導入したものの、このような課題に直面し、形骸化してしまっている企業は少なくありません。

実は、単にデスクを共有化しただけでは、フリーアドレスは決して定着しません。失敗には明確な「パターン」と「原因」が存在します。

本記事では、フリーアドレスが失敗する、定着しない具体的な理由を深掘りし、メリットを最大化するための「運用ルール」や「改善策」を徹底解説します。

これから導入を検討している方も、現状の運用に行き詰まっている担当者の方も、ぜひ参考にしてみてください。

目次

フリーアドレス導入の「失敗」とは?よくある5つの症状

まずは、自社のオフィス環境が「失敗」の状態に陥っていないか確認してみましょう。フリーアドレスが機能不全に陥っている組織では、以下の5つの症状が顕著に現れます。

1.座席の固定化(「いつもの席」が決まってしまう)

座席の固定化は最も典型的な失敗例です。決まった席はないはずなのに、毎日同じメンバーが同じ島の同じ席に座り続けてしまう現象です。

これが続くと、特定のエリアが「〇〇さんの席」「〇〇課のエリア」といった暗黙の「縄張り」と化してしまいます。

その結果、他部署の人間が近づきにくい雰囲気が醸成され、本来の目的である「部署を超えたコミュニケーション」が阻害されます。新入社員や若手が席を選べない空気になることも大きな問題です。

2.誰がどこにいるかわからない(所在不明)

「あの件を確認したいけれど、課長がどこにいるかわからない」 フリーアドレス導入後、人探しに時間がかかるようになり、業務効率が低下するケースです。

広いオフィスであればあるほど深刻で、結局「探すのが面倒だからチャットで済ませよう」となり、対面でのコミュニケーションがかえって希薄になるという本末転倒な事態を招きます。

参考記事:フリーアドレスで「居場所がわからない」を解決!社員を探すムダをなくす3つの方法とツール活用について解説

3.集中できない・うるさい(音の問題)

壁やパーティションを取り払ったオープンなオフィスでは、「音」の問題が深刻化しがちです。 隣で行われているWeb会議の声、近くのグループの雑談、電話で会話している声などが気になり、「自席よりも集中できない」と感じる社員も少なくありません。

逆に、シーンとしすぎていて「電話がしにくい」「相談しにくい」という緊張感がストレスになるケースもあり、音のコントロールは定着の大きな壁となります。

4.座席不足・場所取り合戦(出社ストレス)

コスト削減を狙って座席数を減らしすぎた結果、出社率が高い日に「座る席がない」という事態が発生します。

「席を確保するために、始業30分前に出社しなければならない」「早い者勝ちで、遅く来ると条件の悪い席しか残っていない」といった状況は、社員に多大なストレスを与えます。

5.荷物移動・片付けがめんどう

毎日PC、書類、文房具をロッカーから出し、帰宅時には全て片付けてロッカーに戻す。この毎日の作業を面倒に感じる社員は多いです。

特に、モニターがある席とない席、電源の位置などに格差がある場合、「仕事ができる環境」を求めて毎朝さまようことにもなり得ます。

この手間が嫌で、私物をデスクに置きっぱなしにし、なし崩し的に固定席化が進むケースもあります。

なぜフリーアドレスは定着しないのか?根本的な5つの理由

なぜ、多くの企業で上記のような症状が現れるのでしょうか。その背景には、運用ルールや環境整備の不備、そして組織風土の問題が潜んでいます。

1.導入目的が「コスト削減」止まりになっている

経営層の目的が「オフィス賃料の削減」や「スペース効率化」だけになっていませんか? 社員にとって、フリーアドレスは「自分のスペース(固定席)」を奪われる変化です。

「コミュニケーション活性化」や「自律的な働き方」といったポジティブなビジョンが共有されず、単に「経費削減のため」と受け取られると、社員はメリットを感じず、やらされ仕事になります。「会社都合で不便になった」という不満が、定着を阻む最大の要因です。

2.とりあえず自由にしただけでルールがない

「今日からどこに座っても自由です」という指示は、実は社員にとって負担になります。日本人の気質として、明確なルールがないと「空気を読んで」しまい、「昨日と同じ席に座っておけば無難」「上司の近くに座るべき」という心理が働きます。

自由を与えるのであれば、同時に「固定化を防ぐための仕掛け」や「マナー」という枠組みを設定しなければ、自然と秩序ある固定席へと回帰しようとする力が働きます。

3.ITインフラ・ツールの整備不足

フリーアドレスの前提は「どこでも同じように仕事ができる」ことです。

しかし、ペーパーレス化が進んでおらず書類を持って移動しなければならない、ノートPCのスペックが低い、Wi-Fiが不安定、モニター数が足りないといったインフラの不備があると、社員は「仕事がしやすい特定の場所」に固執せざるを得ません。

また、「誰がどこにいるか」を可視化するツールを導入していないことも、コミュニケーション不全の直接的な原因となります。

4.マネジメントスタイルの不適合

管理職が「部下が目の前に座っていないと仕事をしているか不安」「すぐに呼びつけたい」という古いマネジメントスタイルのままだと、フリーアドレスは機能しません。

上司が部下を近くに集めようとしたり、特定の位置に座ることを強要したりすれば、制度は形骸化します。プロセス(座っている姿)ではなく、成果(アウトプット)で評価する体制への転換が必要です。

5.そもそも「向かない職種」に全社一律で導入した

フリーアドレスには向き・不向きがあります。

これらの職種に対して、現場の事情を無視して全社一律で導入を強行すると、業務効率が著しく低下し、現場の反発を招きます。

失敗・後悔しないための「再活性化」運用ルールと解決策

では、失敗状態から脱却し、フリーアドレスを定着させるにはどうすればよいのでしょうか。効果的な運用ルールと具体的な解決策を紹介します。

明確な「運用ルール・マナー」の策定

曖昧な「自由」ではなく、秩序ある「ルール」を設けます。

オフィスの「ゾーニング」を見直す(ABWの考え方)

単に机を並べるのではなく、業務内容に合わせて働く場所を選ぶ「ABW(Activity Based Working)」の考え方を取り入れ、エリアを明確に分けます。

「静かにしたい人」と「話したい人」の居場所を分けることで、双方のストレスを解消できます。

ITツール(座席管理システム)の導入

「誰がどこにいるかわからない」問題を解決するために、座席管理システムや位置情報共有ツールを導入しましょう。

スマホやPCからチェックインすることで、社員の居場所がリアルタイムで分かります。また、ログデータを分析すれば、「人気のない席」を特定し、レイアウト改善に活かすことも可能です。

ペーパーレス化とモバイルワークの徹底

「移動が面倒」という物理的なハードルを下げます。

「完全フリーアドレス」だけが正解ではない?代替案の検討

対策を講じてもうまくいかない場合、あるいは自社の文化に合わない場合は、無理に完全フリーアドレスに固執する必要はありません。柔軟に形を変えることも重要です。

折衷案としての「グループアドレス」

部署ごとに「エリア」だけを決めておき、そのエリア内であれば自由に座れるという方式です。

「営業部はAエリア、開発部はBエリア」と決めることで、チームの一体感や報連相のしやすさを保ちつつ、固定席の「隣の人がずっと同じ」というマンネリ感を解消できます。

職種によるハイブリッド運用

「営業や企画職はフリーアドレス」「管理部門やエンジニアは固定席」というように、職種によって働き方を分けるハイブリッド運用も有効です。

ただし、固定席のメンバーが不公平感を持たないよう、固定席エリアの椅子をグレードアップしたり、リフレッシュスペースを充実させたりといった配慮が必要です。

フリーアドレスに関するよくある質問

Q フリーアドレスに向かない業種・職種はありますか?
A

あります。一般的に以下の職種は不向きと言われています。

  • 機密情報を扱う部署(人事・経理・法務): セキュリティやプライバシー保護の観点から。
  • 専門職(開発・研究・デザイン): 高スペックのデスクトップPC、大型モニター、多くの専門資料が必要なため移動が困難。
  • 事務職・アシスタント: 固定電話の対応や、特定の部署・上長のサポートで常に居場所が決まっている必要がある場合。
Q フリーアドレス導入の失敗事例にはどのようなものがありますか?
A

「コミュニケーション活性化」を狙ったはずが、逆に「誰とも話さなくなった(気を使って会話が減った)」という事例が多いです。

例えば、その原因のひとつは、近くに面識の薄い人が多かったり、仕事の邪魔をしてはいけないと気を遣うことで会話が減るケースです。多少うるさくても許容されるコミュニケーションエリアや、黙々と作業するための集中エリアといった目的に応じたスペースを導入することで対策も可能になります。

また、感染症対策や出社率制限の解除後に、席数が足りず「出社したのに仕事場がない」「カフェで仕事せざるを得ない」という物理的な失敗事例も散見されます。

Q フリーアドレスにおけるマネジメントの課題は何ですか?
A

「部下の様子が見えないため、評価や管理がしにくい」という点です。従来の「遅くまで残っている=頑張っている」というプロセス評価が通用しなくなるため、成果(アウトプット)に基づく評価制度への転換や、1on1ミーティングによる意識的なコミュニケーション補完が必要になります。

本資料では、コミュニケーション不足が企業に与える影響を分析し、生産性・創造性・エンゲージメントを高める「つながるオフィス」の構築方法について、具体的なデータや事例などを交えながら解説していきます。

資料の概要

  1. はじめに
  2. 「働く」中でのコミュニケーションの重要性
  3. 社員同士がつながるオフィス作りとは?
  4. Nimwayでサポートできること
  5. まとめ

まとめ

フリーアドレスは、導入すれば魔法のように社内が活性化するツールではありません。あくまで、働き方を変えるための「手段」の一つです。

「失敗(定着しない)」には必ず理由があります。まずは自社の状況が「固定化」「所在不明」「インフラ不足」など、どれに当てはまるかを分析し、「運用ルールの見直し」「ゾーニングの変更」「ITツールの導入」といった具体的な対策を講じることが重要です。

また、場合によっては「グループアドレス」への変更など、自社の文化に合わせた柔軟な修正も検討してください。

適切なルールと環境が整えば、フリーアドレスは組織の縦割りを解消し、新しいアイデアを生み出す強力な武器となります。まずは小さなルールの改善から始めてみてはいかがでしょうか。

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著者情報

Nimwayメディア編集部

ワークスペース管理やデータ分析を可能にするスマートオフィスソリューション「Nimway」を提供するとともに、フリーアドレスやABWを導入する企業のオフィス環境構築を支援。これからオフィス環境の変革を検討したい企業様に向けて、その経験やノウハウを公開していきます。