ハイブリッドワークやフリーアドレスを導入したものの、「結局どの席が使われているか分からない」「特定のエリアばかり混雑している」「会議室の空予約が多い」といった様々な課題を抱える企業も少なくありません。
これらの「見えない」オフィスの利用実態や環境を可視化する技術として、「オフィスセンサー」が注目されています。
本記事では、様々なオフィスセンサーの種類と役割を解説します。特に、フリーアドレス運用の鍵となる「人感センサー」や「ビーコン」に焦点を当て、その活用事例と、センサーで得たデータを有効活用し「本当に使われる」オフィスにするための重要な分析のポイントをご紹介します。
オフィスセンサーとは、オフィス内の「人」「モノ」「環境」の状態を検知・測定するデバイスの総称です。これらのセンサーがリアルタイムで収集したデータは、オフィスの運用最適化や働き方改革の貴重な情報源となります。
近年、オフィスセンサーの導入が進んでいる背景には、以下のような要因が挙げられます。
ハイブリッドワークやABW(Activity Based Working)が普及し、いつ、誰が、どこで働くかが流動的になりました。これにより、オフィスの利用状況が複雑化し、従来の勘や経験則では実態把握が困難になっています。
フリーアドレスを導入したものの、「誰がどこにいるか分からない」ためにコミュニケーションが非効率になったり、「結局いつも同じ席に座る」といった課題を抱えるケースは少なくありません。
経済環境の変化に伴い、企業はオフィス賃料や光熱費といった固定費の最適化を常に求められています。データに基づいて「使われていないスペース」を特定し、レイアウト変更や一部解約を検討する必要性が高まっています。
オフィスセンサーには様々な種類があり、目的に応じて使い分けられます。ここでは主要なセンサーを「人の把握」と「環境の把握」に分けてご紹介します。
フリーアドレスの運用効率化やコスト最適化に直結するのが、この「人」と「場所」のデータを取得するセンサーです。
できること:座席や会議室、特定エリアの「利用状況(在・不在)」をリアルタイムに検知します。「その場所が 使われているか 」を把握するのに適しています。
活用例:フリーアドレスの空席状況の可視化、会議室の空予約自動キャンセル、利用実態に基づいたゾーニング(集中エリア、コラボエリアなど)の見直し。
※利用状況検知センサー:https://nimway.sonynetwork.co.jp/equipment.html
従業員の快適性や健康維持に役立つのが、「環境」を測定するセンサーです。
できること:室内の二酸化炭素濃度を測定します。CO2濃度が上昇すると、眠気や集中力の低下につながると言われています。
活用例:換気のタイミングの自動通知、空気質の「見える化」による従業員の集中力・健康維持。
できること:エリアごとの温度・湿度を測定します。
活用例:空調の最適制御による快適性向上と省エネ、過度な冷暖房の防止による健康管理。
照度センサー:窓からの光量に合わせて照明の明るさを自動調整し、省エネに貢献します。
騒音センサー:エリアごとのノイズレベルを測定し、集中ブースの環境維持やWeb会議エリアのゾーニングに役立てます。
オフィス環境を整えるセンサーも重要ですが、フリーアドレスの運用効率化やコスト最適化といった課題解決には、「人」の動きを正確に把握する「人感センサー」や「ビーコン」でデータを取得・分析することが重要です。
センサーとは位置づけが異なりますが、人の在席や入室検知といった位置情報データを取得するビーコンも、オフィス環境を可視化するためのデバイスとして使用されます。
できること:従業員が持つビーコン(カード型タグなど)やスマートフォンアプリからの電波を、天井や壁に設置した受信機が検知し、「誰が」「どのエリアに」いるかを把握します。
活用例:同僚の位置検索、部署ごとや時間帯別のエリア混雑状況の把握、人流分析による動線の最適化。
ここでは、「人」と「場所」の利用実態を把握する「人感センサー」と「ビーコン」の導入における、メリットとデメリット(注意点)をご紹介します。
センサーの活用により、以下のような効果が期待できます。
「人感センサー」で得られる座席や会議室の正確な利用率データに基づき、フリーアドレスエリアの縮小・拡大や、不要な会議室の削減といったファシリティ戦略の意思決定が可能になります。これにより、賃料や光熱費の最適化が図れます。
「人感センサー」によるリアルタイムの空席検索は、「席を探すストレス」を解消します。また、「ビーコン」による同僚の位置検索は、対面での迅速な相談やコミュニケーションを促進し、業務効率を高めます。
「人感センサー」と予約システムを連携させることで、予約時間になっても利用されない会議室を自動でキャンセルする「空予約防止」が可能になり、会議室の実質的な稼働率が大幅に向上します。
※関連記事:フリーアドレスの「会議室問題」を解決するオフィス環境の作り方
※導入事例:データに基づき、数千万ドルのコスト削減を実現|欧州小売企業
「時間帯別の混雑ピーク」「エリアごとの利用傾向」といった客観的なデータを取得できます。これにより、オフィススペースの最適化や効果的なレイアウト変更、実態に即した出社ルールの策定などが可能になります。
一方で、導入にあたっては以下の点を考慮する必要があります。
センサー機器本体の費用、設置工事費、およびデータを収集・分析するためのシステム利用料(ランニングコスト)が発生します。導入によって得られるコスト削減効果や生産性向上のメリットが、これらのコストを上回るかどうかの試算が必要です。
特に「誰が」を把握できる「ビーコン」の導入は、従業員に「監視されている」という印象を与えかねません。導入目的(例:コミュニケーションの活性化、混雑緩和のため)を明確にし、従業員へ丁寧に説明・合意形成を行うことが必要不可欠です。
センサーを導入することで、有用なデータは収集できますが、それらのデータを分析し、具体的な改善アクション(レイアウト変更、ルール見直しなど)につなげなければ、導入コストをかけた意味がありません。データを可視化し、分析をサポートするツール(プラットフォーム)とセットで導入を検討することが重要です。
ここまでセンサー活用のメリットをご紹介してきましたが、ここで最も重要な注意点があります。 それは、「センサーを設置して満足」してしまうケースです。
センサーは、あくまでデータを収集する「手段」に過ぎません。データがただ蓄積されるだけで、具体的な改善アクションにつながらなければ、導入コストをかけた意味がなくなってしまいます。
これらの傾向を「分析」して初めて、「この座席レイアウトは非効率だ」「この会議室は縮小しても良い」といった、データに基づいた具体的な意思決定が可能になります。
人感センサーやビーコンで得た「実利用データ」と、本来の「予約データ」を掛け合わせ、オフィスの利用実態を深く分析することが、これからのオフィス運用には不可欠です。
そこで価値を発揮するのが、ソニーが提供するスマートオフィスソリューション「Nimway(ニムウェイ)」です。
「Nimway」は、フリーアドレスの座席や会議室の 「予約管理」 だけでなく、人感センサーやビーコンと連携し、それらの利用状況を 「分析」 することに強みを持つツールです。 勘や経験則に頼らない、利用実態に基づいた最適なオフィス運用(レイアウト変更、コスト削減)の意思決定を強力にサポートします。
座席・会議室の予約・管理はもちろんのこと、日々の従業員体験を向上させる機能も充実しています。 センサーと連動した「リアルタイムの空席検索」や、「同僚の検索」(ビーコン利用時)、さらにはスマートフォンアプリやルームパネルを使ったシームレスな予約・チェックイン機能を提供しています。 「分析(管理者)」と「利便性(従業員)」の両輪で、オフィスのDX推進をサポートします。
オフィスの見直し、新しい働き方への対応をサポートするスマートオフィスソリューション「Nimway」のサービスについてをまとめた資料です。
最後に、オフィスセンサーの導入に関してよく寄せられる質問にお答えします。
センサーの種類によります。例えば、人感センサーやビーコン受信機の多くは、両面テープで机の裏や天井に貼り付けられるタイプや、電源コンセントに挿すだけのタイプなど、大規模な配線工事が不要なものが増えています。「Nimway」で採用するセンサーも、既存のオフィス環境に後付けで導入しやすい設計を考慮しています。
非常に重要なポイントです。センサーで取得するデータの種類と利用目的を、従業員に事前に十分説明し、合意を得ることが不可欠です。 例えば、「人感センサー」は「そこに人がいるか・いないか」のみを検知し、個人を特定しないため、プライバシーの懸念は比較的小さくなります。 「ビーコン」は「誰が」を把握できますが、その利用を「同僚との円滑なコミュニケーションのため」「混雑状況の把握のため」と目的を限定し、常時監視や人事評価には使用しないといった明確なルール策定と周知が重要です。
センサーから収集される生データ(ログ)は膨大で、そのままでは分析が困難です。 「Nimway」のような分析機能を備えたソリューションは、これらの生データを自動で集計し、「エリア別利用率」や「時間帯別混雑度」といった、意思決定に役立つ分かりやすいグラフやレポートの形で可視化します。専門のデータサイエンティストがいなくても、総務担当者やファシリティ担当者が直感的に状況を把握し、課題を発見できるようサポートします。
本記事では、オフィスの「見えない」を可視化するオフィスセンサーの種類と、その活用法について解説しました。オフィスセンサーには、「人」の動きを捉える人感センサーやビーコン、「環境」を測定するCO2センサーや温湿度センサーなど様々です。特にフリーアドレス運用やコスト最適化といった経営課題の解決には、「人」と「場所」のデータを正確に把握することが重要になります。
ただし、導入にはコストやプライバシーへの配慮といった注意点も存在します。そして何より、センサーは「導入して終わり」ではありません。収集したデータを「分析」し、具体的な改善アクションにつなげて初めて、その価値が最大化されます。オフィスの「人」と「場所」の実態分析から、効率的な「予約管理」までを一気通貫で実現するソリューションこそが、データ活用の鍵となります。
「なんとなく」のオフィス運用から脱却し、データに基づいた意思決定で「本当に使われる」オフィスを実現するために、オフィスセンサーと分析ソリューションの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
スマートオフィスソリューション「Nimway」は、部屋・座席、フロア、拠点など各スペースごとの実際の稼働率やピークタイムを把握し、導入効果の可視化や改善検討に活用できます。
オフィス改善やサービスに関するご相談・お悩みについては以下よりお気軽にお問い合わせください。

ワークスペース管理やデータ分析を可能にするスマートオフィスソリューション「Nimway」を提供するとともに、フリーアドレスやABWを導入する企業のオフィス環境構築を支援。これからオフィス環境の変革を検討したい企業様に向けて、その経験やノウハウを公開していきます。