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2025.9.12

フリーアドレスの「会議室問題」を
解決するオフィス環境の作り方

フリーアドレスを導入し、オフィスの雰囲気は良くなったものの、「会議室の予約が全く取れない」「自席がないためWeb会議の場所にいつも困っている」といった新たな悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか?

その課題の原因は、フリーアドレスという働き方の変化に、会議室の「数」と「種類」、そして「運用方法」が追いついていないことにあるかもしれません。また、近年では多くの企業で出社を推奨する動きが強くなり、オフィスで働く社員数が増加したことも原因の一つと考えられます。

この記事では、フリーアドレス環境で起こりがちな会議室の問題とその背景、具体的な5つの課題とその解決策を解説します。

自社に合った解決策を見つけ、従業員全員が快適に働けるオフィス環境を実現するためのヒントとして、ぜひご覧ください。

目次

フリーアドレスで「会議室が足りなくなる」3つの理由

フリーアドレスを導入すると「会議室が足りない」という問題に直面するケースがあります。その主な原因は、オフィス環境の変化と従業員の働き方の変化にあり、具体的には、以下の3つの理由が挙げられます。

①Web会議の急増

フリーアドレス導入後、Web会議の開催件数が急増することが大きな要因です。以前は対面での打ち合わせが中心だったため、会議室の主な用途はチームや部署単位でのミーティングでした。しかし、ハイブリッドワークやリモートワークが普及したことで、Web会議が日常的に行われるようになりました。

オープンな執務スペースでは、周囲に会話が聞こえてしまうため、Web会議には個室が必要です。その結果、少人数でのWeb会議のために多くの会議室が使われるようになり、本来の用途である対面ミーティングに使える会議室が足りなくなる事態が発生します。

②集中作業・電話をする場所の消失

フリーアドレスは、部署ごとに固定された席をなくし、柔軟な働き方を促すことを目的としています。しかし、その一方で、個人が集中して作業したい時や、電話やWeb会議に参加するためのプライベートな空間が失われてしまいます。

静かな環境で集中して作業したい、または機密性の高い内容を電話やWeb会議で話したい場合、オープンスペースでは難しいため、会議室を代用せざるを得なくなります。これにより、会議室が集中ブースや電話ブースとして使われるようになり、さらに会議室不足を加速させます。

③コミュニケーションの場の必要性

フリーアドレスを導入する目的の一つに、部署間の垣根を越えたコミュニケーションの活性化があります。しかし、気軽に話せるスペースがないと、従業員は自然と会議室をコミュニケーションの場として利用するようになります。

特に、立ち話や少しの雑談でも、周囲に配慮して会議室を利用するケースが増加します。これにより、短時間の利用であっても会議室が埋まり、必要な時に予約できない、といった問題につながります。コミュニケーションを促すための施策が、皮肉にも会議室の占有率を高めてしまうことがあるのです。

フリーアドレスの会議室問題を解決する5つ課題と解決策

顕在化した課題を解決するためには、従来の会議室の概念をアップデートする必要があります。ここでは、会議室の課題と解決する5つのポイントをご紹介します。

①会議室が予約で埋まっている(会議室難民の増加)

従来の8〜10名用の大会議室を思い切って減らし、需要の高い2名用、4名用の小さな会議室や、予約不要のオープンなミーティングスペース(ファミレス席のようなソファ席など)の増設を検討することも重要です。少人数の会議スペースを増やすことで、会議室全体の稼働率が向上し、「会議室難民」問題の解消につながります。

②Web会議や電話をする場所がない

1人用の個室ブース(フォンブース)の導入も極めて効果的です。高い遮音性を備えたブースは、周囲への音漏れを気にすることなくWeb会議や電話に集中できます。設置スペースも比較的小さく済むため、オフィスの空きスペースを有効活用し複数台導入することも可能です。

③予約するほどでもない、ちょっとした打ち合わせ場所がない

コピー機周りやカフェスペース、オフィスの中心といった、人が自然と集まる場所に「マグネットスペース」を設置しましょう。小さなテーブルと椅子や気軽に書き込めるホワイトボード、モニターを設置するだけで、予約不要で利用できる場所になります。社員同士のちょっとした打ち合わせ場所として最適です。

④会議室の利用実態がわからず、無駄が多い(空予約など)

会議室の利用実態を把握するため、会議室予約システムの導入をおすすめします。会議室予約システムでは、スマートフォンから手軽に予約・キャンセルができるだけでなく、利用実績をデータで可視化できたり、予約時間になっても利用開始されない場合に予約を自動でキャンセルする機能を持つシステムも有り、無駄な「空予約」を防ぎ、会議室の有効活用を促進できます。

⑤運用ルールが曖昧で形骸化している

スペースの目的に合わせた、シンプルで分かりやすい運用ルールを策定し、周知徹底しましょう。例えば、「4名用会議室は3名以上の利用で予約可」「1on1ブースの連続利用は最大1時間まで」といったルールを設けることで、利用の公平性を保ち、スペースの私物化を防ぎます。

フリーアドレスの会議室問題を解消するための3つのステップ

これからオフィスの改装や移転を計画している担当者様が、投資を無駄にしないための重要な3ステップをご紹介します。

ステップ1:現状分析

まずは勘や感覚に頼らず、客観的なデータを集めることが重要です。現在の会議室の予約データから利用率や平均利用時間、会議の参加人数などを分析し、自社の「会議の実態」を正確に把握することが、最適なスペース配分を導き出す第一歩です。

ステップ2:目的の明確化

オフィス改革によって「何を一番実現したいのか」という目的を明確にすることが重要です。「Web会議の環境を最優先で整備する」「部署間のコミュニケーションを活性化させる」など、目的が定まることで、設置すべきスペースの種類やレイアウトの優先順位が決まりやすくなります。

ステップ3:従業員のヒアリング

終的にそのオフィスを使うのは従業員です。アンケートやワークショップを通じて、「どんな時に場所に困るか」「どんなスペースがあれば働きやすいか」といった現場のリアルな声を集め、計画に反映させましょう。従業員の納得感が高まるだけでなく、計画段階では見えなかった課題の発見にもつながります。

会議室の課題をツール導入で解決した事例

当社のスマートオフィスソリューション「Nimway」を導入し、会議室の課題解決に成功した企業の事例を紹介します。

オフィス改修をきっかけにフリーアドレスを導入しましたが、より効率的なオフィス運用を目指す中で、新たな課題に直面していました。

スマートオフィスソリューションの活用で会議室の「空予約」が半減

①抱えていた課題:見えない利用状況と深刻な「空予約」

この企業では、フリーアドレス化を進めるにあたり、以下のような課題感を抱えていました。

②解決の決め手:「使いやすさ」と「導入の手軽さ」

課題解決のため、同社はソニーが提供するスマートオフィスソリューション「Nimway」の導入を決定しました。選定の決め手は以下の2点でした。

③導入後の効果:データ活用で空予約が約50%減

導入後、最も大きな効果が現れたのは「空予約」の問題でした。
「Nimway」の分析機能を活用することで、これまで感覚でしか語れなかった会議室の利用実態を、客観的なデータとして正確に把握できました。そのデータを基に具体的な改善策を推進した結果、課題だった会議室の空予約を半分近くまで削減することに成功した、という声が寄せられています。

この成功の背景には、同社がもともと社内アンケートを取るなど、「全社でオフィスの使い方を改善していきたい」という強い意志を持っていたことがあります。その思いに応える形でツールが機能し、大きな成果に繋がった事例と言えます。

フリーアドレスの会議室に関するよくある質問

Q 個室ブースの導入コストはどれくらいかかりますか?
A

個室ブースの価格は、遮音性能、デザイン、搭載されている設備(換気扇、電源、照明など)によって大きく異なり、1台あたり数十万円から百万円を超えるものまで様々です。単なるコストとして捉えるのではなく、従業員の生産性向上や満足度向上への「投資」として検討することが重要です。最近では、初期費用を抑えられるリースやサブスクリプションサービスも増えています。

Q オープンなミーティングスペースと個室ブースの最適な比率は?
A

最適な比率は、企業の文化や職種(エンジニア、営業、企画など)によって大きく異なるため、一概に「何対何が良い」と断言することはできません。重要なのは、本文で解説した「現状分析」です。自社の従業員がどのような働き方をしているか(集中作業の時間、打ち合わせの頻度など)を分析することが、最適な比率を見つけ出すための最も確実な方法です。

Q 予約不要のオープンスペースが特定の人に占有されませんか?
A

その可能性は十分に考えられます。対策として、長時間の利用を防ぐための工夫が有効です。例えば、あえて背もたれのないスツールや少し高さのあるテーブルを設置するなど、長居しにくい「家具のデザイン」でコントロールする方法があります。また、「利用は1回30分まで」「譲り合って使いましょう」といったグランドルールを策定し、オフィス内に掲示して文化として醸成していくアプローチも非常に重要です。

Q 導入するシステムを選ぶ際のポイントは何ですか?
A
  • 使いやすさ: 従業員が直感的に使えるシンプルな操作性が不可欠です。操作が複雑だと、結局使われなくなり、導入効果が薄れてしまいます。
  • 既存システムとの連携: GoogleカレンダーやMicrosoft Outlookなど、普段使っているスケジュールツールと連携できると便利です。これにより、予約の手間がさらに削減されます。
  • 分析機能: どの会議室がどの時間帯にどれくらい使われているか、利用目的は何かなどを分析できる機能があると、将来的なレイアウト変更や会議室の増設を検討する際の貴重なデータになります。
Q 個室ブースの導入コストはどれくらいかかりますか?
A

個室ブースの価格は、遮音性能、デザイン、搭載されている設備(換気扇、電源、照明など)によって大きく異なり、1台あたり数十万円から百万円を超えるものまで様々です。単なるコストとして捉えるのではなく、従業員の生産性向上や満足度向上への「投資」として検討することが重要です。最近では、初期費用を抑えられるリースやサブスクリプションサービスも増えています。。

まとめ

フリーアドレスの導入は、単にデスクをフリーにするだけでは成功しません。Web会議、集中作業、そして偶発的なコミュニケーションといった、現代の働き方に欠かせない多様な活動を受け入れる「共用スペース」の戦略的な設計こそが、その成否を分ける鍵となります。

会議室が予約で埋まっている、Web会議の場所に困るといった問題は、働き方が変化している証拠です。

この記事で紹介した課題の解決ポイントや計画ステップを参考に、まずは自社の会議室の現状を分析することから始めてみてはいかがでしょうか。従業員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できる、本当に働きやすいオフィス環境の実現に向けて、次の一歩を踏み出しましょう。

スマートオフィスソリューション「Nimway」は、部屋・座席、フロア、拠点など各スペースごとの実際の稼働率やピークタイムを把握し、導入効果の可視化や改善検討に活用できます。

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著者情報

Nimwayメディア編集部

ワークスペース管理やデータ分析を可能にするスマートオフィスソリューション「Nimway」を提供するとともに、フリーアドレスやABWを導入する企業のオフィス環境構築を支援。これからオフィス環境の変革を検討したい企業様に向けて、その経験やノウハウを公開していきます。