「会議室が取れない」「予約したのに誰もいない」。こうした声が社内で日常的に聞かれるようになっていないでしょうか。
ザイマックス総研が2025年に実施した「大都市圏オフィス需要調査(※)」によると、メインオフィスの課題として「会議室やリモート会議用スペースなどが不足している」と回答した企業は57.7%に達し、他の課題を大きく上回っています。ハイブリッドワークが定着した現在、会議室不足はもはや個別の企業だけの悩みではなく、多くの組織が直面する構造的な課題です。
この記事では、会議室不足が発生する原因を構造的に分析し、運用ルールの改善からシステム導入、オフィスリニューアルに至るまでの段階的な改善手法について解説します。
データに基づく会議室利用管理の考え方も取り上げていますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事のポイント
会議室不足の背景には、ハイブリッドワークの定着とWeb会議の増加という構造的な変化があります。ザイマックス総研の同調査では、平均出社率は71.0%で推移しており、出社多めのハイブリッドワーク(出社率60〜99%)を採用する企業が47.0%と約半数を占めています。
出社率が高まる中、Web会議を行うための1人用や少人数用の個室ニーズが急増しています。別の調査(※)では、1名用会議室の構成比が2022年度の11%から2024年度には24%へと2倍以上に増加したことが分かっています。
※出典:1人用会議室が2年で2倍以上に。イトーキ、最新オフィス動向をまとめた『WORKPLACE DATA BOOK 2025』を公開
このように、働き方が変われば、オフィスに求められるスペースやその使われ方も変化します。一方で、こうした変化に合わせて、その都度オフィスを物理的に改修することは、コストや工期の面からも容易ではありません。
だからこそ、会議室不足を単純な「部屋数の不足」と捉えるのではなく、まず現在の利用実態を把握することが重要です。
運用の見直しで改善できるのか、それとも将来的にスペース構成の変更や増設が必要なのか。利用データに加えて、自社の働き方や方針なども踏まえながら判断していく必要があります。
予約だけして実際には使われない「空予約」は、多くのオフィスで常態化しています。会議がキャンセルになっても予約がそのまま残り、他の従業員はその部屋を使えません。
例えば、10部屋中2部屋が空予約になっていれば、その時間帯は予約上20%の会議室が利用できない状態になります。空予約を放置すると、「会議室が足りない」認識につながり、本来必要のない増設を検討してしまう可能性があります。
前述の調査では、特に「1人用(リモート会議用ブース)」の不足(47.5%)が顕著であると報告されています。その結果、1人でのWeb会議のために4人用や8人用の会議室を占有する事態が常態化し、本来の複数人・大人数での会議スペースが不足する悪循環が生まれています。
こうした会議室タイプのミスマッチを解消するには、現在の会議室がどのように使われているかを正確に把握する必要があります。感覚的な判断ではなく、利用データに基づいた分析が重要です。
「とりあえず押さえておく」文化が根づいている組織では、利用時間の超過や仮予約の放置が起こりやすくなります。明確な運用ルールがなければ、一部の部署や個人が会議室を占有してしまい、全体の利用効率が下がります。
「4名用会議室は3名以上の利用で予約可」「1on1ブースの連続利用は最大1時間まで」といったルールを策定し、全社的に周知することが出発点です。
まずは、費用をかけずにできる対策として、会議室の運用ルールを見直すことが効果的です。具体的には、次のような運用ルールの導入を検討してみてください。
利用しない会議室はすぐに解放、ないしは予約を削除する運用(カレンダーで予約漏れが生じないようリマインダーを設定する等)
会議の基本単位を60分ではなく45分とし、残り15分を移動や準備のバッファに充てて回転率を上げる。
4名以上の会議室は複数人利用を優先し、1人利用は「当日予約のみ」に制限する。
月単位で定期予約を見直し、形骸化した会議枠を解放する。
運用ルールの効果を測定するには、実際の稼働状況を把握する必要があります。目視調査で一定の状況は把握できますが、働き方が多様化する現在、継続的に利用実態を確認するために、会議室管理システムやセンサーなどのITツールを活用する方法があります。
データに基づく現状把握や意思決定の重要性は前述の通りですが、それを日々持続的に運用し、精度の高い稼働状況を可視化し続けるには、適切なITツールの選定が欠かせません。
会議室を単なる「予約場所」としてだけでなく、組織の生産性を支える「リソース」として最適化するために、会議室管理システムを選定・導入する際の重要な視点を整理します。
会議室管理システムを選ぶ際には、以下の視点で検討することが重要です。
QRコード・社員証・センサー自動検知、会議室等の部屋前端末からのチェックインなど、方式によって運用負荷が異なります。利用者による操作が必要な方式では、操作漏れが生じる可能性もあるため、運用負荷とデータ取得方法の両面から検討することが重要です。
Microsoft 365やGoogle Workspaceなど、すでに利用しているスケジュール管理ツールと連携可能かを確認してください。
予約データだけでなく、実際の利用データ(センサーなど)を取得・分析できるかどうかが、運用改善や将来の投資を検討する際の重要な判断材料になります。
システムを導入しても、従業員に利用されなければ効果は得られません。チェックイン操作の煩雑さが利用率低下の原因になるケースもあるため、現場の負荷を最小限に抑える仕組みを選ぶことが重要です。
会議室の稼働率を定量的に把握できると、「本当に部屋が足りないのか」「どのタイプが不足しているのか」を根拠を持って判断できるようになります。感覚値に頼った判断では、経営層への説得も具体的な改善計画の立案も困難です。
例えば、予約システム上は稼働率80%に見える会議室が、実際にセンサーで計測すると50%しか使われていなかったという場合、この30%の差が「空予約」に起因するものであれば、増設ではなく運用改善で対応できる可能性があります。
実際の利用状況を継続的に取得・可視化できるのが、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供するワークプレイスソリューション「Nimway」です。
Nimwayの最大の特徴は、センサーが着席や人の動きを自動で検知する点です。利用者はQRコードを読み込んだりタブレットをタップしたりする必要がなく、普段通り会議室に入るだけでチェックインが完了します。利用者による操作に依存せずデータを取得できるため、実際の利用状況を継続的に把握することができます。
センサーが一定時間利用を検知しない場合は、システムが「空予約」と判断して自動的に会議室をリリース(解放)します。これにより、使われていない部屋が他の社員に即座に開放され、会議室の利用効率改善につなげることができます。
蓄積されたデータは、時間帯別の混雑傾向やエリアごとの利用頻度として可視化されます。経営層に対して「どの部屋が本当に不足しているか」を客観的データで報告でき、日々の運用改善だけでなく、将来的なレイアウト変更や増設を検討する際の判断材料として活用できます。また、Microsoft 365やGoogle Workspaceとのシームレスな連携により、既存の業務フローを変えずに導入できる点も強みです。
運用改善とデータ収集を行った後、それでも物理的なスペースが不足している場合はリニューアルや増設を検討する必要があります。
東京のオフィス内装コストは高騰しており、 東京のコラボレーション型ハイブリッドワークプレイスの平均内装コストは1坪あたり約119万円に達しています。投資対効果を見極めるためには以下のステップが有効です。
Nimwayなどのツールで、一定期間会議室ごとの実態稼働率や空予約の割合を取得します。
どの会議室・スペースがどの程度使われているのかを確認し、運用改善で対応できる課題と、物理的なスペース変更が必要な課題を整理します。
1人用ブースが不足しているなら、大人数用会議室の一部を分割してフォンブースを複数設置するなど、データに基づいた改修を行います。
会議室そのものの不足だけでなく、空予約や利用人数と会議室サイズのミスマッチ、予約・運用ルールなど、複数の要因が考えられます。まずは実際の利用状況を把握し、自社では何が原因となっているのかを確認することが重要です。
予約データだけでなく、センサーなどを活用して実際の利用状況を取得する方法があります。Nimwayのように実利用データを継続的に取得できるシステムも選択肢の一つです。
「チェックイン操作の有無(センサー自動検知か)」「既存グループウェア(Microsoft 365 / Google Workspace)との連携」「稼働率の分析機能」が重要です。利用者の運用負荷を抑えながら、自社の運用に無理なく組み込めるかも確認することが重要です。
必要な期間は、課題の内容や改善方法によって異なります。運用ルールの見直しで対応できる場合もあれば、一定期間データを収集したうえで、レイアウト変更や増設などを検討する必要がある場合もあります。
オフィスの見直し、新しい働き方への対応をサポートするスマートオフィスソリューション「Nimway」のサービスについてまとめた資料です。
会議室不足の解消は、「ただ部屋を増やす」のではなく「現状を正確に把握する」ことから始まります。空予約の実態や用途のミスマッチをデータで可視化できれば、運用改善で対応できる課題なのか、それとも物理的なスペース変更が必要なのかを判断しやすくなります。
働き方やオフィスの使われ方は、企業の方針や環境の変化によって変わります。まずは運用ルールを見直しながら、Nimwayのようなツールを活用して実際の利用状況を継続的に把握し、必要に応じて次の改善や投資を検討していくことが重要です。

ワークスペース管理やデータ分析を可能にするスマートオフィスソリューション「Nimway」を提供するとともに、フリーアドレスやABWを導入する企業のオフィス環境構築を支援。これからオフィス環境の変革を検討したい企業様に向けて、その経験やノウハウを公開していきます。