働き方の多様化や人員増加、あるいは従業員エンゲージメントの向上を目的として、オフィスのレイアウト変更や移転を検討する企業が増えています。しかし、多くの企業が直面するのが「現状の課題を正確に把握できていない」という壁です。
「フリーアドレスを導入したものの、結局いつも同じ席に座る人が多くて固定席と変わらない」 「会議室が足りないと現場から不満が出ているが、本当に増設が必要なのか判断がつかない」
なんとなくの「肌感覚」や、社員への「アンケート」だけでレイアウトを決めてしまい、改装後に「使いにくい」「無駄なスペースができた」と後悔するケースは後を絶ちません。
本記事では、失敗しないオフィスレイアウト変更のために不可欠な「利用実態データ」の重要性と、その具体的な活用手法について解説します。
レイアウト変更の際、多くの担当者が実施するのが「社員アンケート」や、総務担当者による「見回り(目視調査)」です。しかし、これらの手法には致命的な欠点があります。
「会議室が足りないと思いますか?」という質問に対し、多くの社員は「足りない」と答えるでしょう。
しかし、その「足りない」の原因が「部屋数が物理的に不足している」のか、「予約だけされて使われていない(空予約)が多い」のどちらが原因であるかは、アンケートでは判別できません。
空予約が原因である場合、解決策は「増床」ではなく「運用ルールの改善」ですが、アンケート結果を鵜呑みにすると、不要な工事コストをかけることになります。
「毎日10時と15時に見回りをして利用率を記録する」といった手法も一般的ですが、これはあくまで「その瞬間の切り取り」に過ぎません。
「火曜日は出社が多いが、金曜日は少ない」「午前中は会議室が埋まるが、夕方はガラガラ」といった曜日や時間帯による変動(トレンド)を見落としてしまうため、ピーク時に対応できない、あるいは無駄に広いスペースを作ってしまうリスクがあります。
コストをかけずにExcelなどの表計算ソフトで会議室や座席を管理している企業も少なくありません。しかし、この方法は社員の「正確な入力・更新」という能動的なアクションに依存しています。
忙しい業務の合間に都度入力を徹底するのは難しく、運用ルールは徐々に形骸化しがちです。「Excel上は満席だが実際は空いている」「予約せずに使っている」といった実態との乖離が起きやすく、正確な稼働データが取れないため、これもレイアウト変更の根拠としては不十分です。
失敗しないレイアウト変更のためには、以下の3つの客観的データを揃える必要があります。
「何割の席が埋まっているか」だけでなく、「どのエリアが人気か」を把握することが重要です。
窓際の集中ブースは常に満席だが、入口付近のオープン席は誰も使っていない、といった偏りをヒートマップなどで可視化できれば、「不人気エリアを潰して、集中ブースを増やす」といった、社員のニーズに即した改装が可能になります 。
システム上の「予約データ」と、実際の「入室データ」を突き合わせることで、「空予約」の割合を特定します。
もし「予約は満杯だが、実際には20%が空予約」だとわかれば、会議室を増やすのではなく、自動キャンセル機能を持つシステムを導入するだけで、課題は解決します 。
ハイブリッドワーク環境下では、出社率は一定ではありません。
「週のうち最も出社人数が多い日(ピーク時)」のデータを基準に座席数を設計しなければ、出社したのに座る場所がない「席難民」が発生してしまいます。
逆に、平均出社率だけで計算すると、ピーク時に破綻するリスクがあります 。
正確なデータに基づいてレイアウト変更を行うことで、経営的なメリットも生まれます。
「なんとなく広い方がいい」ではなく、データに基づいて「この部署は出社率が低いから、座席数を30%減らしても問題ない」と判断できれば、オフィスの賃料や光熱費といった固定費を大幅に削減(減床)できます。
浮いたコストを、より付加価値の高い設備投資に回すことも可能です 。
「集中できる場所がない」「Web会議の声がうるさい」といった不満に対し、データに基づいたゾーニング(集中エリアとコラボレーションエリアの分離など)を行うことで、快適な執務環境を提供できます。
これは、「会社に行けば仕事が捗る」という出社動機付けにもつながり、エンゲージメント向上に寄与します 。
レイアウト変更や移転には多額の費用がかかるため、経営層の承認を得るハードルは高いものです。
「社員から要望が多いので」という定性的な理由ではなく、「現在の座席稼働率は平均40%であり、20%減床してもピーク時稼働率は80%に収まるため、年間〇〇万円のコスト削減が見込める」といった定量的な根拠(ROI)を示すことで、稟議が通りやすくなります 。
ソニーのスマートオフィスソリューション「Nimway」は、高精度な人感センサーを活用し、オフィス改善に必要なデータを自動で収集・分析します。
Nimwayは、天井やデスクに設置したワイヤレスの人感センサーで、人の在室・不在を検知します。QRコードやビーコンのように社員が操作する必要がないため、「使い忘れ」によるデータの欠損がなく、ほぼ実態に近いデータを取得できます 。
取得したデータは、管理者用ダッシュボードで即座に可視化されます。「どの会議室がよく使われているか」「どの曜日のどの時間帯が混んでいるか」といった情報がグラフやヒートマップで表示されるため、専門的な知識がなくても現状を直感的に把握できます 。
1ヶ月程度が目安です。 通常、1ヶ月程度のデータを取得すれば、月初の定例会議や月末の繁忙期などを含めた、曜日ごとの傾向やピークタイムを十分に把握可能です。
Nimwayであれば不要です。 Nimwayのセンサー型では、社員は「いつも通り座るだけ」でデータが蓄積されます。特別な操作やアプリの起動などは一切不要なため、現場の負担になりません 。
改善のヒントが得られます。 エリアごとの利用率や、誰がどこに座っているかというデータを可視化することで、「なぜその席が固定化しているのか(例:特定の設備があるから、など)」を分析し、レイアウト変更や運用ルールの見直しに役立てることができます。
オフィスレイアウトの変更はゴールではなく、あくまで「働き方改革」のスタート地点です。 重要なのは、変更後も継続的にデータを取得し、「このレイアウトで本当に生産性が上がったか?」「新たな課題は発生していないか?」を検証し続けるPDCAサイクルを回すことです 。
勘や経験に頼るのではなく、正確な実データという「根拠」を持って、経営に貢献する戦略的なオフィスづくりを実現しませんか?

ワークスペース管理やデータ分析を可能にするスマートオフィスソリューション「Nimway」を提供するとともに、フリーアドレスやABWを導入する企業のオフィス環境構築を支援。これからオフィス環境の変革を検討したい企業様に向けて、その経験やノウハウを公開していきます。